宇宙コラム_02【ブラックホールは巨大蛾を完全に消滅できるのか】

宇宙コラム

我々の居住する地を珍妙な巨大蛾に脅かされて早3週間。
すっかりその話題を聞かなくなり、宇宙部の皆さんはほっと胸を撫で下ろしていることでしょう。ましてやそれを清掃していた人々は桁違いのストレスを抱えていたであろうことは想像に容易いです。
こんな時、ブラックホールのように勝手に吸い込んで跡形もなく消し去ってくれる装置があれば……と思わざるを得ません。


■ブラックホールとは?

皆さんはブラックホールについてどこまで知ってますか?もちろん実在する天体ということまでは知ってますよね。
太陽の25倍以上の質量をもつ巨大な恒星が燃え尽き(核融合が止まり)、星を維持する力の均衡が崩れ、中心に向かって星自体がぎゅっと圧縮された末にできるものです。
ブラックホールは周りにある物質を引き寄せて取り込み、さらに巨大に成長していきます。


■ブラックホールに巨大蛾を捨ててみる

仮にその忌まわしき巨大蛾を、ブラックホールの近くに投げ捨てるとどうなるでしょうか?期待通り瞬時に跡形もなく消し去ってくれるのでしょうか?

ブラックホールに引き寄せられたものは『事象の地平面』と呼ばれるボーダーラインを超えると、もう戻っては来られません。それは光も同じ。光は光子という物質なので、どんなに早く進んで我々の目に情報を届けようとしても、ブラックホールの引き寄せる力を振り切ることができないのです。

つまり跡形もなく消し去ってくれるどころか、我々はブラックホールにゆっくりと近づき事象の地平面を超える瞬間の巨大蛾の姿をほぼ永遠に観測することになるのです。
実際の蛾はどんどん加速して引き寄せられ、光速でバラバラになりながら中心に落ちて行っているのにもかかわらず、です。


巨大蛾は消滅する?しない?

ちなみにブラックホールの中心に落ちて圧縮された蛾はどうなるのでしょうか?
もちろん形は保たれず原子すら崩壊しますが、原子を組成する素粒子は失われることはなく、数兆年後にブラックホールが蒸発する時には外に放出されることになります。


■さいごに

残念なことにブラックホールに廃棄してしまうと、忌まわしき蛾の存在はむしろ永久に保存されてしまうようです。世の中うまくいかないものですね。

なお、蛾の大発生は3年連続で起こる傾向にあるようです。来年も8月下旬に入口が明るい地下鉄駅を利用する予定を入れないよう気を付けましょう。

それではまた。